May 17, 2024

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:レオ・リー、以下「ノバルティス ファーマ」)は、大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、以下「大塚製薬」)とともに、「高血圧に関する調査(医師・患者)」と題し、45歳以上75歳未満の高血圧症男女2,197人と、高血圧症を診療している医師208人を対象に、アンケート調査を行いました。日本では現在約4,300万人の高血圧症患者さんがいると推計されていますが、そのなかで適切に血圧がコントロールされているのはわずか1,200万人1で、治療を受けていても降圧目標値が達成できていない患者さんが多いことが課題とされています。調査の結果、目標値の設定や治療強化などにおいて医師と患者さんの間に意識の差があることが明らかになりました。

【グラフ】治療強化ができない理由について

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96%の医師は家庭血圧の測定を指導しているが、実際に測定している患者さんは58%

医師の96%は家庭血圧測定を指導しており、測定値についても把握していると回答しました。一方、患者さんで測定するように「指導されている」と答えた方は77%、実際に測定しているのは58%でした。

 

降圧目標値の設定に関して、医師と患者さんの間に認識の違いが存在

医師の76%は、治療方針・目標について「すべての患者さんに説明している」と答えましたが、医師に家庭血圧を測定するように言われている患者さん1,683人のうち、血圧値の目標を設定されていた人は29%でした。

 

医師が考える治療課題の上位は投薬、患者さんは生活習慣の改善

治療強化ができない要因について、医師側は「錠数を増やすことへの懸念」「患者さんが錠数を増えるのを嫌がる」「患者さんが薬の種類や用量が変わることを嫌がる」「患者さんが服薬を遵守していない」など、投薬に関わることを上位に上げているのに対し、患者さん側は「運動するのが面倒・好きではない」「好きなものが食べられないのが嫌・不満」「塩分を気にして食事をするのが面倒・嫌い」など、生活習慣の改善を上位に上げており、意識の違いが明らかになりました。

 

治療変更の相談の有無について、医師は相談されていると認識しているが、相談したことがある患者さんは33%

医師への治療変更に関わる相談の有無では、患者さんから相談されると答えた医師は「まれに相談されることがある」「よく相談を受けている」を合わせて90%になりましたが、患者さんでは「相談したことがある」は33%にとどまりました。相談しない理由としては、「相談するつもりがないから」と答えた人が全体の61%、次いで「診療時間が短いから」(14%)「先生が忙しそうだから」(9%)「先生があまり相談を聞いてくれないから」(5%)の順となりました。

治療変更できない頻度について、医師側は「まれに治療変更ができない」「しばしば変更できない」「変更できないことの方が多い」合わせて94%が変更できないと考えています。その一方、患者さん側では「医師からの提案を断ったことはない(医師から提案があれば受け入れる)」と答えた人が93%に上りました。患者さんは医師から薬の変更の提案があれば受け入れるが、医師のほうでは患者さんが薬の変更を嫌がるのではないかという懸念から治療変更に踏み切らない実態が明らかになりました。

 

高血圧の合併症に関して、医師は7割以上が説明していると認識しているが、説明を受けたと回答した患者さんは3割前後

医師側は高血圧の合併症(脳血管イベント、心血管イベント)リスクについて7割以上が説明したと答えており、説明項目の上位に来ていますが、患者さん側では脳心血管イベントのリスクについて説明を受けたと答えた人が「脳卒中」34%、「心筋梗塞」28%、「心不全」26%と意識の差が見られました。

※パーセンテージの数字は小数点第一位以下を四捨五入しております。二つ以上の回答を合わせた数字を表記する場合には当該数字で改めて割合を算出し四捨五入しているため、数字に差異が生じる場合がございます。

 

災害時の高血圧症への備えについて

災害による不安は75%の方が抱えており、「服薬している薬の入手」や「医師の診察を受けられない」「避難所などのストレスによる悪化」などを不安視している。しかし、そのための準備は15%程度しかしていない。

 

調査の監修に携わった野出 孝一先生(特定非営利活動法人 日本高血圧学会 理事長、佐賀大学 医学部内科学講座主任教授)のコメント

今回の調査から、医師と患者さんとの間で目標値が設定されていないことや合併症に関する指導を医師はしているが患者さんに伝わっていないなどの実態も明らかになりました。患者さんは高血圧治療において食事・運動療法の重要性は十分に認識されていますが、服薬の重要性についても認識を高めて頂くために、薬物治療の重要性について、もっと伝えていく必要性があると思います。
震災に関しては、患者さんは心配しているが準備されていない現状が明らかになりました。能登半島地震では、日本高血圧学会も被災地への支援物資の提供や、循環器疾患予防や災害の対応活動などについて広報活動を行なっております。学会としても患者さんができる災害時対策のガイドラインなどを学会のホームページなどでも公開しておりますので、御覧いただき対策を進めていただければと考えております。
 

日本における高血圧の現状と課題について

高血圧の国内推定患者数は4,300万人と言われており、そのうち3,100万人は生活習慣改善や治療開始もしくは強化が必要とされています1。現在、日本では作用機序の異なる複数の降圧薬が使用可能ですが、実際に降圧薬服用患者さんのうち血圧140/90 mmHg未満の割合は50%未満1、降圧目標130/80 mmHg未満の割合は2割程に留まるとされています2。またこの超高齢化社会下で健康寿命の延伸が求められる中、血圧の適切管理は多くの二次疾患予防に非常に重要であるにもかかわらず、国民の血圧管理の意識は低いのが現状です。事実、自分が高血圧であると認識しながらも、適切な血圧管理がなされていない人も非常に多い状況です3

ノバルティス ファーマと大塚製薬は、今後も適切な血圧管理を社会に普及していくことで、血圧に起因する疾患の予防・早期発見・早期治療を促進し、日本社会の健康増進に貢献していきます。
 

調査概要

■医師
調査期間:2024年3月25日~29日
調査機関:株式会社マクロミルケアネット
調査対象:一般内科、循環器内科、腎臓内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、脳神経外科、脳神経内科で20床未満の施設に勤務されている医師。かつ高血圧症患者を1人(/1ヵ月)以上診療している、高血圧症の非専門医。
有効回答数:208サンプル
調査方法:ケアネットパネルにおけるインターネット調査

■患者
調査期間:2024年3月25日~28日
調査機関:株式会社マクロミルケアネット
調査対象:医療機関で高血圧症の診断を受けており、現在治療を受けている、45歳以上75歳未満の男女
有効回答数:2,197サンプル
調査方法:マクロミルモニタにおけるインターネット調査
 

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
ノバルティス ファーマ株式会社のソーシャルメディアもご覧ください。 Facebook LinkedIn   Youtube

以上

参考文献

  1. 高血圧治療ガイドライン2019 (JSH2019).
  2. Asayama K, Kinoshita Y, Watanabe S, et al. Hypertens; 37 (3):652-653, 2019.
  3. NCD Risk Factor Collaboration: Lancet. 2019; 394(10199):639-651.

 

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