May 22, 2024

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社


ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:レオ・リー、以下「ノバルティス ファーマ」)と大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、本日、小児慢性心不全に対する小児専用剤形のアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)「エンレスト®粒状錠小児用12.5mg、31.25mg」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、以下「エンレスト粒状錠」)を新発売いたしましたので、お知らせします。

prkk20240522-1

 

小児慢性心不全は、生まれつきの心疾患や心筋症が原因になることが多く、息苦しさなどの症状が出るだけでなく、病状が進むと心肥大や心拡大などが進行し、不整脈や突然死を引き起こすこともあるため、早期に診断して適切な治療を行うことが大切です1,2,3

1歳以上の小児慢性心不全の効能・効果と用法・用量で2月9日に承認を取得している「エンレスト®錠50mg、100mg、200mg(以下「エンレスト錠」)においては、体重が50kg未満の場合、薬剤師が粉砕懸濁し用量調整をおこなうケースもありましたが、「エンレスト粒状錠」においては、12.5 mg と31.25 mg の2種の用量を組み合わせることにより様々な体重に対応が可能となることから、調剤の簡便化に貢献することができます。また、小児でも飲みやすい小さな粒状の錠剤であるため、カプセル型容器から取り出した錠剤を食べ物に混ぜて服用することが可能です*。
* 一般的な錠剤のように、カプセル型容器から取り出し、水で服用することも可能です。

 

小児における用量表

体重

  開始用量  

  第1漸増用量  

  第2漸増用量  

  目標用量  

40kg未満 

0.8mg/kg

1.6mg/kg

2.3mg/kg

3.1mg/kg

40kg以上 

50kg未満 

0.8mg/kg

50mg

100mg

150mg

50kg以上

50mg

100mg

150mg

200mg

(エンレスト粒状錠小児用添付文書より)

 

「エンレスト粒状錠」の発売について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長 レオ・リーは次のように述べています。「小児慢性心不全は、病状が進むと心肥大や心拡大などが進行し、不整脈や突然死を引き起こすこともあるため、早期診断と適切な治療が大切ですが、小児慢性心不全の患者さんの治療薬にあたっては、体重当たりの用量調整がしやすく、服用しやすい形状の薬剤が求められていました。このたび発売された「エンレスト粒状錠」は、カプセル型容器から取り出した錠剤を食べ物に混ぜて服用することも可能で、このような小児慢性心不全の患者さんのニーズを満たす薬剤として、患者さんに貢献すると確信しています」。

なお、日本国内における医療従事者への「エンレスト」の情報提供活動については、共同プロモーション契約に基づき、ノバルティス ファーマと大塚製薬が実施してまいります。
 

小児慢性心不全とは

小児慢性心不全は、心臓機能障害により静脈圧上昇と心拍出量低下をきたし、身体各組織の酸素需要に見合う血流が保持できない状態で、運動能低下、不整脈頻発、生存率低下を来たす症候群です4,5
小児慢性心不全は生まれつきの心疾患や心筋症が原因になることが多く、これらの病気から、心臓や関連臓器に二次的な障害が引き起こされます。その障害が不可逆的になることで生存に不可欠な臓器への血流が保持できなくなり、病状が進むと心肥大や心拡大などが進行し、不整脈や突然死を引き起こします。また、小児慢性心不全は予後不良疾患であるため、生命を維持するために人工的な心補助装置や心臓移植が必要となることもあり、頻回に入退院を繰り返すなど患者さんとそのご家族にとって身体的、精神的、経済的負担の大きい疾患です。乳児期では多呼吸、哺乳不良、体重増加不良など、また幼児期以降では活気の低下、疲れやすい、むくみ等の症状がみられます1,2,3
 

「エンレスト」について

「エンレスト」は、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)に分類され、ネプリライシン(NEP)とレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を同時に阻害する作用機序を有する薬剤です。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を阻害することにより、アンジオテンシンII によって引き起こされる血管収縮、体液貯留、交感神経活性が抑制され、降圧効果を示します。また、ネプリライシン(NEP)を阻害することで、生理活性を有するナトリウム利尿ペプチド(NP)の作用が増大し、血管拡張、利尿、尿中ナトリウム排泄、交感神経系抑制、心肥大抑制及び線維化抑制等の多面的な作用を示します。NEPとRAASの同時阻害では、NEP阻害に伴うRAAS 活性化がもう一方のRAAS 阻害作用により抑制されるため、NEP阻害によるベネフィットを最大限引き出すことができると期待されています6。「エンレスト」は、2015 年7 月に最初に米国で承認されて以来、慢性心不全治療薬として世界120ヵ国以上で承認されています。また、ロシア、中国等では高血圧症での承認も取得しています。慢性心不全の小児適応は、2024年2月現在、米国および欧州を含む世界40ヵ国以上で承認されており、欧州および米国では「エンレスト粒状錠」も承認されています。
国内においては、「エンレスト錠」で「慢性心不全」を効能又は効果として2020 年6月に、「高血圧症」を効能又は効果として2021年9月に、小児における「慢性心不全」の効能又は効果、用法及び用量が2024年2月に、「粒状錠小児用」が2024年3月に承認されています。
 

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
ノバルティス ファーマ株式会社のソーシャルメディアもご覧ください。 Facebook LinkedIn   Youtube
 

以上

 

参考文献

  1. 西山光則『小児期心不全の診断と初期治療』小児科臨床2012; 65(7):1621-6.
  2. Sharma M, Nair M, Jatana SK, et al. "Congestive Heart Failure in Infants and Children.” Med J Armed Forces India; 59(3): 2003, 228-33.
  3. Andrews RE, Fenton MJ, Ridout DA, et al. “New-onset heart failure due to heart muscle disease in childhood: a prospective study in the United Kingdom and Ireland.” Circulation; 2008, 117(1):79-84.
  4. 村上智明,青墳裕之,石川司朗,他 『日本小児循環器学会小児心不全薬物治療ガイドライン(平成27 年改訂版)』. 日本小児循環器学会雑誌; 2015, 31(S2):1-36.
  5. Stout KK, Broberg CS, Book WM, et al. “Chronic Heart Failure in Congenital Heart Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association.” Circulation; 133(8):2016, 770-801.
  6. エンレスト錠 開発資料

 

<参考資料>
「エンレスト®粒状錠小児用」の製品概要

製品名: 
「エンレスト®粒状錠小児用12.5mg」(Entresto® Granules)
「エンレスト®粒状錠小児用31.25mg」

一般名:
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物
(Sacubitril Valsartan Sodium Hydrate)

用法及び用量**:
通常、1歳以上の小児には、サクビトリルバルサルタンとして下表のとおり体重に応じた開始用量を1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に目標用量まで増量する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。

小児における用量表(1回投与量)

体重

開始用量

第1漸増用量

第2漸増用量

目標用量

40kg未満

0.8mg/kg

1.6mg/kg

2.3mg/kg

3.1mg/kg

40kg以上

50kg未満

0.8mg/kg

50mg

100mg

150mg

50kg以上

50mg

100mg

150mg

200mg

(エンレスト粒状錠小児用添付文書より)

承認取得日: 
2024年3月26日

製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社

**「効能又は効果、用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書(電子添文)をご覧下さい。
 

 

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