Nov 07, 2024

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2024年10月27日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。なお、本製品は日本ではC3腎症およびIgA腎症に対して未承認です。

  • 新たなAPPEAR-C3G試験データで、イプタコパンは蛋白尿の減少を12ヵ月時点でも持続させることが示された1
  • 腎機能の重要な指標である推算糸球体濾過量(eGFR)は、イプタコパンの投与開始後にこれまでの急速な低下と比較して改善が観察された1 
  • イプタコパンは引き続き良好な安全性プロファイルを示し、新たな安全性シグナルは認められなかった1
  • イプタコパンは、承認された治療が存在しない超希少腎疾患であるC3腎症の根本的原因である補体第二経路を標的として阻害する唯一の経口薬2-5
  • ノバルティスは複数の開発候補品からなる腎臓領域のポートフォリオを引き続き前進させる。C3腎症に対するイプタコパンの承認申請はEU、中国および日本で完了しており、米国では2024年末までに行う予定

 

2024年10月27日、スイス・バーゼル発―ノバルティスは本日、イプタコパンの第III相APPEAR-C3G試験における12ヵ月間の結果を米国腎臓学会(ASN)Kidney Week 2024で発表しました。C3腎症患者に対し、支持療法に加えてイプタコパンを投与した場合には、臨床的に意義のある結果が1年時点でも持続したことを示しています1

これらのデータから、イプタコパンによる治療が臨床的に意義のある蛋白尿の減少をもたらし、投与14日時点の早期から減少が認められ、12ヵ月時点でも持続していたことが確認されています。同様に、本試験の非盲検投与期間において、イプタコパンに切り換えた患者にも蛋白尿の減少が認められました。さらに、eGFRの低下は、事前規定された探索的分析の結果に基づき、イプタコパン投与前の急速な低下と比較して、イプタコパンの投与開始後に改善したことが観察されました。イプタコパンは良好な安全性プロファイルを示し、新たな安全性シグナルは認められませんでした1

APPEAR-C3G試験では、C3腎症成人患者を対象にイプタコパンの1日2回経口投与の有効性と安全性を評価しました。本試験は、プラセボと比較する無作為化された6ヵ月間の二重盲検投与期、それに続いてすべての患者にイプタコパンを投与する6ヵ月間の非盲検投与期で構成されています1。2024年の欧州腎臓学会(ERA)学術集会で発表した結果では、支持療法に加えてプラセボを投与した患者と比較して、6ヵ月時に臨床的に意義がありかつ統計的に有意な35.1%の蛋白尿の減少を示しました6

長期データはイプタコパンの持続的な結果を示す

University of Iowaの小児腎臓病学の教授で、APPEAR-C3G試験の共同研究者であるCarla Nester, M.D., M.S.A., F.A.S.N.は、以下のように述べています。「若いC3腎症患者を治療する医師として、今用いられている治療法の課題を日々目の当たりにし、こうした患者に特化した治療法が不可欠であると痛感しています。今回のデータにより、6ヵ月時点で見られた腎臓に関する検査所見に対する臨床的に意義ある効果が再確認され、心強く感じています。C3腎症を治療する唯一の経口補体阻害剤として、イプタコパンはこの疾患と共に生きる人々の新たな希望となる可能性があります。」

Columbia University Irving Medical Centerの医学部准教授であり、APPEAR-C3G試験の共同研究者兼治験運営委員のAndrew Bomback, M.D., M.P.H.は、以下のように述べています。「これらの結果は、C3腎症の根本的原因である補体第二経路を標的として阻害する長期治療に光を当てた最初の試験として、C3腎症治療の発展における重要なマイルストーンを示しています。イプタコパンのAPPEAR-C3G試験結果は、承認された治療法がないこの超希少疾患の治療パラダイムに革新をもたらす一歩を踏み出すことになると期待しています。」

C3腎症患者の約50%は診断から10年以内に腎不全に進行し、その時点で生涯にわたる透析または移植が必要となります4,7

イプタコパンは、補体第二経路のB因子を標的として阻害する唯一の経口薬であり、米国食品医薬品局(FDA)が承認する最初のC3腎症の治療薬となる可能性があります2,4,5。C3腎症に対する承認申請はEU、中国および日本で完了しており、米国では2024年末までに行う予定です。

腎疾患における患者治療に変革を

ノバルティスの循環器・腎臓・代謝デベロップメントユニットのグローバルヘッドであるDavid Soergel, M.D.は、以下のように述べています。「C3腎症におけるイプタコパンの可能性を示すこれらのデータを発表できることを喜ばしく思っており、規制当局と協力して患者コミュニティにこの画期的な新薬をお届けできることを心待ちにしています。腎臓病学における当社の長年の経験と、今年に入って希少腎疾患として初めて取得したIgA腎症の承認を足がかりにして、C3腎症におけるこれらの結果は、患者治療の変革を目指す当社の業界をけん引する幅広いポートフォリオの進展を示しています。」

イプタコパンはノバルティスで開発され、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の成人患者の治療薬として2023年12月にFDAの承認を受け、原発性のIgA腎症の成人患者の蛋白尿減少を適応で2024年8月にFDAの迅速承認を受けました2。イプタコパンは、C3腎症、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)、ループス腎炎(LN)など、幅広い希少腎疾患を対象に研究が進められています。これら試験では、適応の有効性および安全性プロファイルを評価し、規制当局への申請の裏付けとなります。

ノバルティスはイプタコパンに加え、作用機序が大きく異なる2つのIgA腎症治療薬の後期開発を進めています。atrasentanは、エンドセリンA受容体を遮断する経口投与治験薬で、2024年第2四半期にFDAへの承認申請が受理されました。zigakibartは、抗APRILモノクローナル抗体の皮下投与治験薬で、現在は第III相の開発段階にあります。

APPEAR-C3G試験について

APPEAR-C3G(NCT04817618)試験は、C3腎症患者を対象にイプタコパン(200 mg)の1日2回経口投与の有効性および安全性を評価するための第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照試験です。本試験は、成人患者が支持療法に加えてイプタコパンまたはプラセボに1:1の割合で無作為化された6ヵ月間の二重盲検投与期、それに続いて(二重盲検投与期にプラセボを投与された患者を含め)すべての患者にイプタコパンを投与する6ヵ月間の非盲検投与期で構成されています。二重盲検投与期の主要評価項目は、プラセボと比較したイプタコパンにおける24時間蓄尿による尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)のベースラインから6ヵ月時点までの蛋白尿の減少です1,8。成人C3腎症患者に加え、別のコホートで青少年C3腎症患者の試験登録が進行中です8

12ヵ月の試験期間中に試験治療下で発現した有害事象(TEAE)の大部分は軽度から中等度で、死亡例、髄膜炎および/または髄膜炎菌性敗血症はなく、TEAEによる中止もありませんでした1

C3腎症について

C3腎症は進行性の超希少腎疾患であり、主に小児および若年成人で初発します3,4,9。毎年、全世界で100万人あたり約1~2人が新たに膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)に含まれるC3腎症と診断されます3

C3腎症では、免疫系の一部である補体第二経路の過剰活性化により、腎糸球体(老廃物を濾過し、血液から余分な水分を除去する血管のネットワーク)にC3というタンパク質が沈着します9,10。そして炎症および糸球体損傷が誘発され、蛋白尿、血尿、および腎機能低下が引き起こされます9,11

腎臓病学におけるノバルティスの取り組み

ノバルティスの腎臓病学における歩みは40年以上前に始まり、シクロスポリンの開発および導入により移植と免疫抑制の分野を再構築する一助となりました。当社は現在も、腎機能を維持させるために疾患の根本原因を標的とする幅広い腎臓領域の研究開発ポートフォリオを展開しています。私たちは、腎疾患と共に生きる患者の生活を変革し、透析や移植を必要とせずに長く生きられる未来を目指します。

ノバルティスについて

ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で2.5億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上

参考文献

  1. Smith RJ, Kavanagh D, Vivarelli M, et al. Efficacy and safety of iptacopan in patients with C3 glomerulopathy: 12-Month results from the Phase 3 APPEAR-C3G study. Presented at American Society of Nephrology (WCN) Kidney Week 2024; October 23-27, 2024; San Diego, CA. 
  2. FABHALTA prescribing information. East Hanover, NJ: Novartis Pharmaceuticals Corp; August 2024. 
  3. Schena FP, Esposito P, Rossini M. A Narrative Review on C3 Glomerulopathy: A Rare Renal Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(2):525. 
  4. Martín B, Smith RJH. In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, et al., editors. C3 Glomerulopathy. GeneReviews® [Internet]. Updated 2018. University of Washington, Seattle; 1993-2024. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1425/. Accessed September 2024. 
  5. Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Glomerular Diseases Work Group. KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline for the Management of Glomerular Diseases. Kidney Int. 2021;100(4S):S1-S276.
  6. Kavanagh D, Bomback A, Vivarelli M, et al. Efficacy and Safety of Iptacopan in Patients with C3 Glomerulopathy: Results from the Phase 3 APPEAR-C3G Trial. Presented at European Renal Association (ERA) Congress; May 25, 2024; Stockholm, Sweden. 
  7. Smith RJH, Appel GB, Blom AM, et al. C3 Glomerulopathy – understanding a rare complement-driven renal disease. Nat Rev Nephrol. 2019;15(3):129-143. 
  8. ClinicalTrials.gov. Study of Efficacy and Safety of Iptacopan in Patients With C3 Glomerulopathy. (APPEAR-C3G). Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04817618. Accessed September 2024.
  9. Caravaca-Fontán F, Lucientes L, Cavero T, Praga M. Update on C3 Glomerulopathy: A Complement-Mediated Disease. Nephron. 2020;144(6):272-280.
  10. Ravindran A, Fervenza FC, Smith RJH, Sethi S. C3 Glomerulopathy Associated with Monoclonal Ig is a Distinct Subtype. Kidney Int. 2018;94(1):178-186.
  11. Medjeral-Thomas NR, O'Shaughnessy MM, O'Regan JA, et al. C3 Glomerulopathy: Clinicopathologic Features and Predictors of Outcome. Clin J Am Soc Nephrol. 2014;9(1):46-53. 

 

 

 

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