この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2024年10月29日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。なお、本製品は日本では初発の慢性骨髄性白血病(CML)に対して未承認です。
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
第53条LRに基づく臨時発表
- 「セムブリックス」は、医師選択の標準治療TKIと比較した初めての第III相試験で優れた有効性と良好な安全性および忍容性プロファイルを示した、CML成人患者に対する一次治療の新たな治療選択肢である1-3
- 「セムブリックス」を投与された患者では用量調節が少なく、投与中止に至った有害事象発現率も半分であった1-3
- CML患者の約50%は既存の医師選択の標準治療TKIで有効性の治療目標(MMR)を達成しておらず、約25%は治療開始から1年以内に治療を中止または変更している4-5
- 「セムブリックス」は初発および治療歴のあるCMLに対して承認され、治療対象となる患者数は4倍になる
2024年10月29日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、セムブリックス®錠(一般名:アシミニブ塩酸塩、以下、「セムブリックス」)が、初発の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)成人患者への適応で、米国食品医薬品局(FDA)により迅速承認されたことを発表しました。
迅速承認は、「セムブリックス」1日1回投与と医師選択(IS)の標準治療(SoC)であるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、およびボスチニブ)を比較した第III相ASC4FIRST試験における48週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率に基づいています。本試験では、「セムブリックス」は医師選択の標準治療TKIおよびイマチニブと比較して、48週時点の優れたMMR率を示し、両方の主要評価項目を達成しました1-3。この初発の適応症に対する迅速承認では、検証的なエビデンスに基づく臨床的ベネフィットの確認の条件が課せられています。
Ph+ CML-CPの適応拡大によって、「セムブリックス」の治療対象となる患者は初発および治療歴のある患者を含めて約4倍に増えます。初発の患者は、医師選択の標準治療TKIと比較して優れた有効性と良好な安全性および忍容性プロファイルを示した治療を受けられるようになります。
Leukemia & Lymphoma SocietyのChief Scientific OfficerであるLee Greenberger, Ph.D.は、次のように述べています。「新たにCMLと診断された多くの患者さんは、この慢性疾患をコントロールすることに苦労しており、日常生活に支障をきたす副作用の影響により治療の中止または変更をしています。そのため、一次治療の新たな治療選択肢の承認が非常に重要となります。患者さんが治療開始時から適切な薬を見つけられれば、少ない副作用で長期に疾患をコントロールできる可能性があります。」
TKIの登場によりCMLは慢性疾患となりましたが、有効性と安全性の課題は多くの患者にとって、長期にわたる治療奏効の維持の妨げとなっています。多くの初発患者は分子遺伝学的奏効の治療目標を達成しておらず、多くの患者が不耐容のために治療を中止または変更しています4-23。CML患者の約半数は有効性の治療目標(MMR)を達成しておらず、約4人に1人は1年以内に治療を中止または変更しています4-5。
Georgia Cancer Center, DirectorであるJorge Cortes医学博士は、次のように述べています。「初発の患者さんに使用できる有効なTKIは現在いくつもありますが、医師は有効性か忍容性のどちらかを犠牲にしなければならないことがよくあります。医師選択の標準治療TKIと比較検証した最初の試験であるASC4FIRST試験において、セムブリックスは、有効性、安全性、忍容性の3つの指標のいずれにおいても、医師選択の標準治療TKIと比較して素晴らしい結果を示しました。このセムブリックスのデータは、臨床診療を変える可能性があります。」
「セムブリックス」のFDA承認は、初発のPh+ CML-CP患者を対象とした第III相ASC4FIRST試験の結果に基づいています。データは以下のとおりです。
- 「セムブリックス」の投与を受けた患者では、医師選択の標準治療TKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、およびボスチニブ)と比較して約20%多くの患者が48週時点でMMRを達成し(68% vs. 49%、< 0.001)、イマチニブと比較して約30%多くの患者がMMRを達成しました(69% vs. 40%、< 0.001)1-2
- 「セムブリックス」はイマチニブおよび第二世代TKIと比較して優れた有効性と良好な安全性および忍容性プロファイルを示した最初のCML治療薬で、治療に関連するグレード3以上の副作用(AR)が少なく(25.5% vs. 33%および42%)、減量を要した有害事象が少なく(6% vs. 14%および24%)、投与中止に至った有害事象の発現率も半分でした(4.5% vs. 11%および9.8%)1-3
- 「セムブリックス」の投与を受けた患者は、医師選択の標準治療TKIおよびイマチニブと比較して、48週までにMR4を含む深い分子遺伝学的奏効も達成しました(41% vs. 22%および16%)1-2
- 初発の患者において、安全性プロファイルは過去の報告と一致しており、新たな安全性の懸念は確認されませんでした。最も発現割合の高かったAR(20%以上)は、筋骨格痛、発疹、疲労、上気道感染、頭痛、腹痛、および下痢でした1-3
ASC4FIRST試験は継続中で、96週時点に主な副次評価項目(96週時点のMMR)およびその他の副次評価項目を評価する予定です。
承認には、第II相ASC2ESCALATE試験の予備的データも裏付けとなっており、従来のTKIによる治療歴があり、効果判定基準によりFailureまたはWarningとなった患者、および不耐容のために治療を中止したPh+ CML-CP患者のデータも含まれています。データは今後の医学学会で発表される予定です。
ノバルティスの米国のプレジデントであるVictor Bultoは、次のように述べています。「20年以上にわたりCMLの領域でイノベーションと支援に取り組んできたため、セムブリックスによって再びCML治療の変革に貢献できることを誇りに思います。この領域では多くの進歩がありましたが、依然として患者さんは、慢性疾患とうまくつきあいつつ、治療目標を達成できるような高い有効性と良好な忍容性プロファイルの両方を備えた治療選択肢を必要としています。今回の承認によって、CMLとともに生きるさらに多くの患者さんの疾患経過を変える力のある高い有効性および良好な忍容性の両方を兼ね備えた新たな治療選択肢を初発のPh+ CML-CP成人患者さんに提供できます。」
ASC4FIRST第III相臨床試験について
ASC4FIRST試験(NCT04971226)は、初発のPh+ CML-CP成人患者405名を対象に、セムブリックス®錠(80 mg 1日1回)と、医師選択の第一世代または第二世代TKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、またはボスチニブ)を比較する第III相、直接比較(head-to-head)、多施設共同、非盲検、無作為化試験です1,24。本試験の2つの主要評価項目は、48週時点でMMRを達成した被験者の割合を指標として「セムブリックス」と医師選択の標準治療であるTKIの有効性を比較すること、および無作為化前にイマチニブが選択された被験者層で、「セムブリックス」と医師選択のTKIの有効性を比較することです1,24。
本試験は現在も継続中であり、主な副次評価項目は96週時点でMMRを達成した被験者の割合で、安全性に関する評価項目は96週時点までの有害事象による治験薬の投与中止までの期間(TTDAE)です1,24。本試験では、その他の安全性および有効性の副次評価項目も評価します。これらの副次評価項目には、予定されているすべてのデータ収集時点および収集時点までのMMR、MR4、MR4.5、血液学的完全奏効(CHR)、BCR::ABL1 ≤ 1%の他、最初のMMR、MR4およびMR4.5までの期間とそれらの持続期間、治療成功期間、無イベント生存期間、治療成功生存期間、無増悪生存期間、全生存期間が含まれます1,24。
「セムブリックス」(一般名:アシミニブ塩酸塩)について
「セムブリックス」は、ABLミリストイルポケット(学術文献ではSTAMP阻害剤といわれる)を特異的に標的とすることにより作用する最初のCML治療薬です25-27。現在承認されているCML治療薬は、ATP結合部位を標的とする(ATP競合型)TKIです27。
「セムブリックス」は、初発の成人患者の治療として米国で迅速承認され、治療歴のあるPh+ CML-CPの成人患者に対しても承認されています。「セムブリックス」は、初発の成人患者の治療に対して画期的治療薬の指定を受けており、FDAのReal-Time Oncology Review(RTOR)プログラムの下で審査されました28-30。2剤以上のTKIによる治療歴があるPh+ CML-CP患者の治療を目的として、EUを含む75ヵ国以上で承認されています28,29,31。米国を含む一部の国では、T315I変異を有するPh+ CML-CP患者に対しても承認されています28-30。
「セムブリックス」は、単剤療法と併用療法の両方についてPh+ CML-CPの複数の治療ラインで試験が行われています1,24-26,29,32-44。
CMLに対するノバルティスの取り組みについて
ノバルティスは、CMLで苦しむ患者さんに対して長年にわたって科学的な取り組みを行っています。ノバルティスの20年以上にわたる研究開発により、多くの患者さんにとって、この疾患は致死的なものではなくなりました。このような進歩のなかで、ノバルティスは現在も歩み続けています。今後も、この疾患に対する治療法を追求し、治療目標を達成できずに多くの患者さんが直面する治療抵抗性や不耐容という課題に取り組んでまいります。これまで培ってきたものは、将来のイノベーションの原動力となります。ノバルティスは引き続き、CMLにおける深刻なアンメットニーズに対処するための新薬開発をリードしていきます。このコミットメントは科学を超えるものです。Max Foundationとの20年以上にわたる提携により、低中所得国の患者さんに対しグリベック(イマチニブ)、タシグナ(ニロチニブ)、そして現在では「セムブリックス」へのアクセスを提供し、現在までに10万人を超える患者さんを支援してきました。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で2.5億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上
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