Nov 20, 2024

~標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く) 及びBRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫に対して~

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス  ファーマ」)は、本日、「標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)」および「BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫(LGG)」に対する小児用剤形「タフィンラー®小児用分散錠 10mg」、「メキニスト®小児用ドライシロップ 4.7mg」を新発売しました。

* 小児用剤形の効能又は効果:
 ・標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く) 
 ・BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫

prkk-20241120-1

​神経膠腫は、小児で最も多い固形悪性腫瘍である小児脳腫瘍の約半分を占め、LGGと高悪性度神経膠腫(HGG)に大きく分けられます。そのうち小児BRAF遺伝子変異陽性LGGは年間数名から十数名が診断されていると推定されます。これらの小児LGG患者さんの標準治療は外科的切除ですが、手術が困難または腫瘍を全摘出できなかった場合には化学療法が必要となります。また、BRAF V600遺伝子変異を有する患者さんは野生型の患者さんよりも予後不良であるため新たな治療選択肢が求められてきました2‐5
この度の「タフィンラー®小児用分散錠 10mg」および「メキニスト®小児用ドライシロップ 4.7mg」は、これまでの成人用製剤では嚥下が困難であった低年齢の小児患者さんにとって、より服用がしやすくなるというアンメットメディカルニーズに応えるとともに、26㎏未満の低体重の小児患者さんに対する治療も可能となることで、新たな治療選択肢を提供することになります。 

今回の新発売について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノは、次のように述べています。「これまで、BRAF遺伝子変異を有する小児の患者さんは診断を受けても治療選択肢が限られており、患者さんご自身やご家族にとって大きな不安があり、従来の剤形では小さなお子様が服用しづらいなどの医療ニーズも存在していました。今回の新発売により、より多くの小児患者さんとそのご家族のご負担を軽減し、QOLの改善に繋がることを期待しています。」

今回発売した製剤を含めすべての剤形におけるすべての効能は厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されています。

「タフィンラー」「メキニスト」併用療法について

世界的な分子標的療法の治療薬として患者さんに届けられたタフィンラー/メキニスト併用療法は、様々な種類のがんの増殖に関与するBRAF及びMEKキナーゼに関連するシグナルを阻害して腫瘍の増殖を抑制する可能性があります6,7。タフィンラー/メキニスト併用療法は、実施中及び完了した20以上の試験で6,000例以上のBRAF遺伝子変異陽性患者さんを対象に検討され、世界中で20万例以上の患者さんに処方されています。

BRAF V600遺伝子変異について

BRAF V600遺伝子変異は広範ながん種で認められており、その多くは希少がんであり、検出頻度はがん種によって異なります。BRAF遺伝子変異は、様々な固形腫瘍のがん増殖の促進因子とされており、BRAF V600E遺伝子変異は最もよくみられる種類のBRAF遺伝子変異であり、BRAF遺伝子変異がんの最大90%を占めます7

小児神経膠腫について

神経膠腫は、最も多い小児中枢神経系腫瘍で、小児脳腫瘍全体の約半分を占めています8-10。神経膠腫は、低悪性度(WHO分類でグレード1及び2)又は高悪性度(WHO分類でグレード3及び4)いずれかに分類されます9。BRAF V600変異陽性の小児低悪性度神経膠腫は、生存転帰(全生存期間/無増悪生存期間)の不良と関連し、小児LGGの約15%~20%に認められます5, 11

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
ノバルティス ファーマ株式会社のソーシャルメディアもご覧ください。Facebook LinkedIn Instagram 

以上

参考文献

  1. Funakoshi Y, Hata N, Kuga D, et al. (2021) Pediatric Glioma: An Update of Diagnosis, Biology, and Treatment. Cancers (Basel); 13(4):758.
  2. Ater JL, Zhou T, Holmes E, et al. (2012) Randomized study of two chemotherapy regimens for treatment of low-grade glioma in young children: a report from the Children's Oncology Group. J Clin Oncol; 30(21):2641-7.
  3. Ryall S, Tabori U, Hawkins C (2020) Pediatric low-grade glioma in the era of molecular diagnostics. Acta Neuropathol Commun; 8(1):30.
  4. Nobre L, Zapotocky M, Ramaswamy V, et al. (2020) Outcomes of BRAF V600E Pediatric Gliomas Treated With Targeted BRAF Inhibition. JCO Precis Oncol; 4:561-71.
  5. Lassaletta A, et al. J Clin Oncol. 2017;35:2934-2941
  6. Pratilas C, et al. Curr Top Microbiol Immunol. 2012;355:82-98.
  7. Turski ML, et al. Mol Cancer Ther. 2016;15:533-547. 
  8. Ostrom QT, et al. Neuro Oncol. 2021;23(12 suppl 2):iii1-iii105
  9. ESMO/Anticancer Fund. Glioma Guide for Patients
  10. Louis DN, et al. Acta Neuropathol. 2016;131:803-82
  11. Mistry M, et al. J Clin Oncol. 2015;33:1015-1022.


<参考資料>
タフィンラー®カプセル 50mgと同カプセル75mg、タフィンラー®小児用分散錠
10mgの製品概要

製品名(下線部が今回追加):

  • 「タフィンラー®カプセル 50mg」(TAFINLAR® Capsules 50mg)
  • 「タフィンラー®カプセル 75mg」(TAFINLAR® Capsules 75mg)
  • 「タフィンラー®小児用分散錠 10mg」(TAFINLAR® dispersible tablets for Pediatric 10mg)


一般名:
ダブラフェニブメシル酸塩
(Dabrafenib Mesilate)

効能又は効果*(下線部が今回追加):
タフィンラーカプセル

  • BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
  • BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 標準的な治療が困難なBRAF 遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
  • BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫


タフィンラー小児用分散錠

  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫


用法及び用量又は使用方法*(下線部が今回追加):
タフィンラーカプセル

  • BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
    通常、成人にはダブラフェニブとして1 回150mg を1 日2回、空腹時に経口投与する。ただし、術後補助療法の場合には、トラメチニブと併用し、投与期間は12 カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    トラメチニブとの併用において、通常、成人にはダブラフェニブとして1 回150mg を1 日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
    トラメチニブとの併用において、通常、ダブラフェニブとして以下の用量を1 日2 回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
    成人には、1 回150mg
    小児には、体重に合わせて次の用量
    26kg以上38kg未満:75mg、38kg以上43kg未満:100mg、43kg以上51kg未満:125mg、51kg以上:150mg
  • BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病
    トラメチニブとの併用において、通常、成人にはダブラフェニブとして1 回150mg を1 日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫
    トラメチニブとの併用において、通常、ダブラフェニブとして以下の用量を1 日2 回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
    成人には、1 回150mg
    小児には、体重に合わせて次の用量
    26kg以上38kg未満:75mg、38kg以上43kg未満:100mg、43kg以上51kg未満:125mg、51kg以上:150mg
     

タフィンラー小児用分散錠

  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
    トラメチニブとの併用において、通常、小児にはダブラフェニブとして体重に合わせて次の用量を1日2回、用時、水に分散して空腹時に経口投与する。
    8kg以上10kg未満:20mg、10kg以上14kg未満:30mg、14kg以上18kg未満:40mg、18kg以上22kg未満:50mg、22kg以上26kg未満:60mg、26kg以上30kg未満:70mg、30kg以上34kg未満:80mg、34kg以上38kg未満:90mg、38kg以上42kg未満:100mg、42kg以上46kg未満:110mg、46kg以上51kg未満:130mg、51kg以上:150mg
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫
    トラメチニブとの併用において、通常、小児にはダブラフェニブとして体重に合わせて次の用量を1日2回、用時、水に分散して空腹時に経口投与する。
    8kg以上10kg未満:20mg、10kg以上14kg未満:30mg、14kg以上18kg未満:40mg、18kg以上22kg未満:50mg、22kg以上26kg未満:60mg、26kg以上30kg未満:70mg、30kg以上34kg未満:80mg、34kg以上38kg未満:90mg、38kg以上42kg未満:100mg、42kg以上46kg未満:110mg、46kg以上51kg未満:130mg、51kg以上:150mg


承認取得日:
2024年9月24日

薬価基準収載日:
2024年11月20日

発売日:
2024年11月20日

薬価:
1,225.9円 (10mg1錠)

製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
メキニスト®錠 0.5mgと同錠2mg、メキニスト®小児用ドライシロップ 4.7mgの製品概要
製品名:

  • 「メキニスト® 0.5mg」(MEKINIST® Tablets 0.5mg
  • 「メキニスト® 2mg」(MEKINIST® Tablets 2mg
  • 「メキニスト®小児用ドライシロップ 4.7mg」(MEKINIST® Dry syrup for Pediatric 4.7mg


一般名:
トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物
(Trametinib Dimethyl Sulfoxide)

効能又は効果*(下線部が今回追加):
メキニスト錠

  • BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
  • BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 標準的な治療が困難なBRAF 遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
  • BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫


メキニスト小児用ドライシロップ

  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫


用法及び用量又は使用方法*(下線部が今回追加):
メキニスト錠

  • BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
    ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mg を1 日1 回、空腹時に経口投与する。ただし、術後補助療法の場合には、投与期間は12 カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mg を1 日1 回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • 標準的な治療が困難なBRAF 遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
    ダブラフェニブとの併用において、通常、トラメチニブとして以下の用量を1 日1 回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
    成人には、2mg
    小児には、体重に合わせて次の用量
    26kg以上38kg未満:1mg、38kg以上51kg未満:1.5mg、51kg以上:2mg
  • BRAF 遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病
    ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mg を1 日1 回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫
    ダブラフェニブとの併用において、通常、トラメチニブとして以下の用量を1 日1 回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
    成人には、2mg
    小児には、体重に合わせて次の用量
    26kg以上38kg未満:1mg、38kg以上51kg未満:1.5mg、51kg以上:2mg


メキニスト小児用ドライシロップ

  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)
    ダブラフェニブとの併用において、通常、小児にはトラメチニブとして体重に合わせて次の用量を1日1回、空腹時に経口投与する。
    8kg以上9kg未満:0.3mg、9kg以上11kg未満:0.35mg、11kg以上12kg未満:0.4mg、12kg以上14kg未満:0.45mg、14kg以上18kg未満:0.55mg、18kg以上22kg未満:0.7mg、22kg以上26kg未満:0.85mg、26kg以上30kg未満:0.9mg、30kg以上34kg未満:1mg、34kg以上38kg未満:1.15mg、38kg以上42kg未満:1.25mg、42kg以上46kg未満:1.4mg、46kg以上51kg未満:1.6mg、51kg以上:2mg
  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫
    ダブラフェニブとの併用において、通常、小児にはトラメチニブとして体重に合わせて次の用量を1日1回、空腹時に経口投与する。
    8kg以上9kg未満:0.3mg、9kg以上11kg未満:0.35mg、11kg以上12kg未満:0.4mg、12kg以上14kg未満:0.45mg、14kg以上18kg未満:0.55mg、18kg以上22kg未満:0.7mg、22kg以上26kg未満:0.85mg、26kg以上30kg未満:0.9mg、30kg以上34kg未満:1mg、34kg以上38kg未満:1.15mg、38kg以上42kg未満:1.25mg、42kg以上46kg未満:1.4mg、46kg以上51kg未満:1.6mg、51kg以上:2mg


承認取得日:
2024年9月24日

薬価基準収載日:
2024年11月20日

発売日:
2024年11月20日

薬価:
99,852円 (4.7mg1瓶)

製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社

*「効能又は効果に関連する注意」、ならびに「用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書(電子添文)をご覧下さい。
 

 

 

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