プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の小児(12歳未満)に対する新たな治療選択肢として、小児用製剤「ジャカビ®内用液小児用0.5%」を世界に先駆け国内で新発売しました。
移植片対宿主病(GVHD)は同種造血幹細胞移植(同種HSCT)後に、ドナー由来の免疫細胞(移植片)が移植患者さん(宿主)の組織や臓器を異物として攻撃することにより起こる重篤な移植合併症1であり、急性と慢性に分けられます。同種HSCTは、悪性及び非悪性の血液疾患の根治につながる可能性を持つ治療法であるものの、その合併症である急性GVHDは皮膚、肝臓、消化器官に障害をもたらし予後不良や死亡の主要因となり1-4、慢性GVHDの場合はさらに多くの臓器に影響を及ぼし、健康悪化や晩期死亡リスク増加につながります5。GVHDの標準的な一次治療は副腎皮質ステロイド(ステロイド)ですが、患者さんの約半数がステロイド抵抗性又は依存性になるという治療上の課題がありました。また、特に小児患者さんでのステロイドの長期投与による副作用を考慮すると、ステロイドの投与量を減らせる治療法が重要とされています6。
この度の「ジャカビ®内用液小児用0.5%」の発売により、小児患者さんに対する高いアンメットメディカルニーズに応えるとともに、ステロイド抵抗性の小児GVHD患者さんへの服用が可能となり、錠剤を嚥下することが困難な小児患者さんの服薬が容易になります。
今回の新発売について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノは、次のように述べています。「これまで、同種造血幹細胞移植の治療効果を妨げる大きな障壁となっていたGVHDに対して、今回のジャカビ内用液の新発売がより多くの小児患者さんやそのご家族の新たな治療選択としての希望に繋がることを期待しております。」
「ジャカビ」(一般名:ルキソリチニブリン酸塩)について
「ジャカビ」は、経口投与のJAK阻害剤です。4種類存在するJAKファミリーのうちJAK1及びJAK2を選択的に阻害し、シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)等を介したサイトカイン及び成長因子のシグナル伝達を抑制することで、造血及び免疫機能を制御します。これまで、国内においては「ジャカビ®錠5mg」が、2014年7月4日に「骨髄線維症」、2015年9月24日に「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」、2023年8月23日には「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」に対する治療薬として、また2024年9月24日には「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の小児(6歳以上12歳未満)の用法及び用量について、それぞれ承認を取得しています。加えて、利便性の向上と服薬アドヒアランスの改善を目的とし、ジャカビ錠® 10mg の開発を行い、2017 年 3 月7日に承認を取得しています。また、2024年9月24日に国内で「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」 に対する小児用内用液の新規剤形の承認を取得しました。「ジャカビ」は世界100カ国以上で承認されており、GVHDについては、急性GVHD、慢性GVHDに対してそれぞれ70カ国以上で承認されています。ノバルティスは、米国外における「ジャカビ」の開発及び販売を目的としたライセンスをIncyte社から取得しました。米国ではIncyte社がJakafi®という商品名で販売しています。
移植片対宿主病(GVHD)について
GVHDは、移植を受けた患者さんの健康な組織(宿主)をドナー(移植片)由来免疫細胞が異物とみなし、攻撃することで発症します。GVHDの症状は、皮膚、消化管、肝臓、口腔、眼、生殖器、肺、関節等の多様な臓器で認められる可能性があります1。GVHDの病態生理や臨床症状は小児と成人で概ね同様とされています。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
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以上
参考文献
- 免疫不全・骨髄不全の同種造血幹細胞移植 | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp). https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/immunodeficiency-allogeneic.html#section5
- Carlberg V, Simons E, Delano S, et al. (2017) Pediatric Graft-Versus-Host Disease. In: Huang, J., Coughlin, C. (eds) Skin Tumors and Reactions to Cancer Therapy in Children. Springer, Cham, p. 105-23.
- Gatza E, Reddy P, Choi SW (2020) Prevention and Treatment of Acute Graft-versus-Host Disease in Children, Adolescents, and Young Adults. Biol Blood Marrow Transplant; 26(5):e101-12.
- 8-2. 急性移植片対宿主病|一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 (jstct.or.jp). https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=21.
- 11-1. 慢性移植片対宿主病|一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 (jstct.or.jp). https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=37.
- 11-11. 小児の晩期毒性|一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 (jstct.or.jp). https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=47
参考資料
ジャカビ®︎錠5mgと同錠10mg、ジャカビ®内用液小児用0.5%の製品概要
製品名(下線部が今回追加):
- 「ジャカビ®錠5mg」(JAKAVI®︎ Tablets 5mg)
- 「ジャカビ®錠10mg」(JAKAVI®︎ Tablets 10mg)
- 「ジャカビ®内用液小児用0.5%」(JAKAVI® Oral Solution)
一般名:
ルキソリチニブリン酸塩
(Ruxolitinib Phosphate)
効能又は効果*(下線部が今回追加):
錠5mg・10mg
- 骨髄線維症
- 真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
- 造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)
内用液
- 造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)
用法及び用量*(下線部が今回追加):
錠5mg・10mg
<骨髄線維症>
通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。用量は、ルキソリチニブとして1回5 mg~25 mg の範囲とし、患者の状態により適宜増減する。
<真性多血症>
通常、成人にはルキソリチニブとして1回10mgを開始用量とし、1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜増減するが、1回25mg、1日2回を超えないこと。
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
通常、成人及び12歳以上の小児にはルキソリチニブとして1回10mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。
通常、6歳以上12歳未満の小児にはルキソリチニブとして1回5mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。
内用液
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
通常、6歳以上12歳未満の小児にはルキソリチニブとして1回5mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。
通常、6歳未満の小児にはルキソリチニブとして1回4mg/m2を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。
新規剤形承認取得日:
2024年9月24日
薬価基準収載日:
2024年11月20日
発売日:
2024年11月20日
薬価:
12,209円(0.5%1mL)
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
*「効能又は効果に関連する注意」、ならびに「用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書(電子添文)をご覧下さい。
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