プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、トロンボポエチン受容体作動薬「レボレード®錠 12.5 mg、同25 mg」(一般名:エルトロンボパグ オラミン、以下「レボレード」)について、公知申請*を行っていた「慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」の小児患者(1歳以上)に対する用法及び用量の追加承認を取得したことをお知らせいたします。
ITPは、血小板数が減少することで血液が正常に凝固できなくなり出血が起こりやすくなる後天性の自己免疫疾患です1。小児の患者さんでは多くが自然寛解しますが、血小板数減少により重症化した場合には、脳出血等の重篤かつ致死的な出血症状が出現することもあるため、一定以上の血小板数を維持する必要があります。レボレードは、海外ではすでに1歳以上の慢性ITPに対する用法及び用量が承認されていましたが、国内では成人患者さんにのみ使用できる状況でありました。一方で、国内の診療ガイドラインでは、副腎皮質ステロイド等の治療の効果が不十分な小児患者さんや、長期投与による副作用を懸念される小児患者さんに対する二次治療として、レボレードの使用が推奨されています2。
これらの状況を受け、日本小児血液・がん学会から要望書が提出され、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議**」の検討により、医学薬学上公知であると判断されました。薬事審議会医薬品第一部会において事前評価が行われ、公知申請を行うことは可能と判断されたことから、2024年5月にノバルティスは、レボレードの小児患者(1歳以上)に対する用法及び用量の追加の公知申請を行いました。今回の日本における用法及び用量の追加承認は、国内外のガイドライン等2,3の記載内容や、国内の使用実績、公表文献等に基づいています。
今回の承認について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノは、次のように述べています。「これまで日常生活に重大な影響があった小児のITP患者さんおよびそのご家族に、新たな治療をご提供できることをうれしく思います。今回の追加承認によって、現在承認されている再生不良性貧血と ITPの両疾患において小児での使用が可能となり、レボレードがより多くの患者さんの生活に貢献できると確信しています。」
*公知申請:医薬品(効能追加等)の承認申請において、当該医薬品の有効性や安全性が医学的に公知であるとして、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく承認申請を行うことが出来る制度
**医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議:欧米では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品や適応について、医療上の必要性を評価するとともに、公知申請への該当性や、承認申請のために追加で実施が必要な試験の妥当性を確認すること等により、製薬企業による「未承認薬・適応外薬」の開発促進に資することを目的として設置された会議
「レボレード」(一般名:エルトロンボパグ オラミン)について
「レボレード」は、経口投与のトロンボポエチン受容体作動薬です。トロンボポエチン受容体は造血幹細胞や骨髄前駆細胞等の膜表面に発現する膜貫通型受容体で、トロンボポエチンとの結合により活性化され、核内にシグナルを伝達することで、造血幹細胞や骨髄前駆細胞の増殖や分化を誘導すると考えられています。「レボレード」は、トロンボポエチン受容体に直接結合するのではなく、受容体膜貫通領域と特異的に相互作用をすることで、トロンボポエチンの主要な細胞内シグナル伝達経路の一部であるJAK-STAT経路とRas-MAPK経路を活性化し、血球の増加を促進します4-6。国内においては、2010年10月27日に成人の「慢性特発性血小板減少性紫斑病」に対する治療薬としてグラクソ・スミスクライン株式会社が承認を取得しており、2015年11月2日に同社より製造販売承認を継承しました。また、2017年8月25日には「再生不良性貧血」に対する治療薬としての承認を追加取得し、2023年12月22日に同疾患の小児患者(6歳以上)に対しても用法及び用量の追加承認を取得しました。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)について
ITPは、血小板数が減少することで血液が正常に凝固せず出血がしやすくなる稀な後天性の自己免疫疾患で、現在は免疫性血小板減少症ともよばれ、難病法で指定された「指定難病」のひとつです。主な症状は、点状出血や出血斑等の軽度な出血傾向で、女児においては過多月経を来すこともあります1。
2017年の日本小児血液・がん学会の疾患登録からの推計では、本邦における小児のITP罹患率は10万人中4.3人とされていますが、発症例全例が登録されているわけではないため、実際の患者数はさらに多いと考えられています1。小児のITPは自然寛解することも多く、治療を要するのは30~56%と報告されています。出血症状や出血リスクに応じて治療が開始され、ファーストラインの治療として副腎皮質ステロイド、セカンドラインの治療としてトロンボポエチン受容体作動薬やリツキシマブによる治療が推奨されています2。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
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以上
参考文献
- 免疫性血小板減少性紫斑病 - 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)
- 日本小児血液・がん学会 2022 年 小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン、日本小児血液・がん学会 (2022)
- American Society of Hematology 2019 guidelines for immune thrombocytopenia.(Blood Adv 2019; 3: 3829-66)
- Kaushansky, K. et al.:Exp. Hematol. 24(2), 265, 1996.
- Sun, H. et al.:Stem Cell Res. 9(2), 77, 2012.
- Erickson-Miller, CL. et al.:Stem Cells 27(2), 424, 2009.
<参考資料>
レボレード®錠12.5mgと同錠25㎎の製品概要
製品名:
- 「レボレード®錠12.5mg」(REVOLADE® Tablets 12.5mg)
- 「レボレード®錠25mg」(REVOLADE® Tablets 25mg)
一般名:
エルトロンボパグ オラミン
効能又は効果:
- 慢性特発性血小板減少性紫斑病
- 再生不良性貧血
用法及び用量(下線部が今回追加された部分):
- 慢性特発性血小板減少性紫斑病
通常、成人及び1歳以上の小児には、エルトロンボパグとして初回投与量12.5mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は50mgとする。
- 再生不良性貧血
抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合
抗胸腺細胞免疫グロブリンとの併用において、通常、成人及び12歳以上の小児には、エルトロンボパグとして75mgを1日1回、6歳以上12歳未満の小児には、エルトロンボパグとして37.5mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
既存治療で効果不十分な場合
通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量25mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は100mgとする。
承認取得日:
2024年11月22日
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
*「効能又は効果に関連する注意」、ならびに「用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書(電子添文)をご覧下さい。
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