プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2025年3月20日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。なお、本製品は日本ではC3腎症およびIgA腎症に対して未承認です。
- 第III相試験では、ファビハルタは尿蛋白の減少を12ヵ月時点でも持続させ、良好な安全性プロファイルを示した1
- ファビハルタはC3腎症の根本原因と考えられる補体第二経路を標的として阻害する唯一の経口補体阻害薬1-3
- C3腎症は非常に稀な腎疾患であり、主に若年成人で診断され、腎不全に進行することが多い2-4
- ノバルティスは組織の強みを集結し、独自のリーダーシップをより強く発揮することで、アンメットニーズの高い腎疾患に対する治療法の開発を前進させ続けている
2025年3月20日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、米国食品医薬品局(FDA)が経口薬のファビハルタ®(一般名:イプタコパン塩酸塩水和物)を成人C3腎症患者の治療薬として承認したことを発表しました。ファビハルタは尿蛋白を減少させる効果があり、C3腎症に対して承認された最初で唯一の治療薬です1-4。
University of Iowaの小児腎臓病学の教授で、APPEAR-C3G試験の共同研究者であるCarla Nester, M.D., M.S.A., F.A.S.N.は、以下のように述べています。「C3腎症は若年者での発症が多く、身体的および精神的な健康の多くの側面に影響を及ぼす深刻な病気です。これまでの治療法には多くの課題がありましたが、ファビハルタの承認はC3腎症患者さんにとって歴史的な出来事です。それは、この疾患の根本原因を治療することが期待される治療薬を初めて手に入れることができることで、新たな標準治療の可能性をもたらすことになったからです」。
ファビハルタは、C3腎症の根本原因と考えられる補体第二経路を選択的に標的とする唯一の経口阻害薬です1-3。ファビハルタが承認される以前は、C3腎症患者さんは支持療法、広範な免疫抑制療法、症状管理に頼らざるを得ませんでした5-6。
患者団体C3G Warriorsの共同代表を務める患者のLindsey Fullerは、以下のように述べています。「家族が何世代にもわたってC3腎症に苦しんできた一人として、この過酷な疾患と共に生きることの身体的、感情的な困難さを十分に表現することは簡単ではありません。承認された治療法がついに登場し、しかも経口で服用できることは、私たちが長らく待ち望んでいたことです。今般の承認は、私や家族、そして多くの人たちに新たな希望をもたらします」。
C3腎症は進行性かつ非常に稀な腎疾患であり、これまで承認された治療がありませんでした2-5。診断の平均年齢は約23歳です2。C3腎症患者さんの予後は不良で、約50%は診断から10年以内に腎不全に進行し、生涯にわたる透析もしくは移植が必要となります2,7。また、C3腎症患者さんは、疲労感や日常生活における機動性への支障、そして、うつや不安などのメンタルヘルス症状を経験する可能性があります8,9。
承認の裏付けとなるデータ
ピボタル第III相APPEAR-C3G試験では、成人 C3腎症患者を対象にファビハルタの1日2回経口投与の有効性と安全性を評価しました1,10。本試験は、支持療法に加えてファビハルタとプラセボを比較した6ヵ月の無作為化二重盲検投与期間と、それに続く全参加者にファビハルタを投与する追加の6ヵ月の非盲検投与期間で構成されています1,10。
ファビハルタは臨床的に意義のある尿蛋白の減少を示し、投与14日時点の早期から減少が認められ、12ヵ月時点でも持続しました1,10。同様に、非盲検投与期間において、ファビハルタに切り換えた患者にも尿蛋白の減少が認められました1,10。
ファビハルタは良好な安全性プロファイルを示し、新たな安全性シグナルは認められませんでした1。C3腎症患者において、ファビハルタの最も見られた有害事象(10%以上)は、上咽頭炎とウイルス感染でした1。ファビハルタの投与で莢膜形成細菌による重篤な感染症に罹患する可能性があり、特定のワクチン接種を必要とするRisk Evaluation and Mitigation Strategy(REMS)を通じてのみ投与できます1。
先月、ファビハルタは欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)からC3腎症の適応追加に対する肯定的見解を受けました11。同適応症に対する規制当局による審査が中国と日本で進行中です。
腎疾患の治療に変革を
ノバルティスの米国プレジデントのVictor Bultóは次のように述べています。「臨床試験に参加してくださった患者さんや治験担当医師の皆さんに心から感謝申し上げます。皆さんの協力がなければ、今回C3腎症に対するFDAによる最初の承認は実現しなかったでしょう。腎疾患に対する2つ目の承認となるファビハルタの追加の承認により、私たちは確立された能力と専門知識を活かして、この画期的な治療薬を必要とする患者さんに届け、腎疾患を抱える人びとのケアに変革をもたらすことに尽力します」。
今回の承認は、ファビハルタにとって米国における3つ目の承認であり、2024年8月に迅速承認を受けた、進行リスクの高い成人原発性IgA腎症患者の尿蛋白減少に対する適応に次いで、ノバルティスの腎疾患ポートフォリオとして2つ目の承認となります。IgA腎症に対する継続的な承認は、更なる確証的データが条件となっています1。ファビハルタは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の成人患者の治療薬として2023年12月に最初のFDA承認を受けています1。ノバルティスで開発されたファビハルタは、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)、ループス腎炎(LN)など、幅広い希少腎疾患を対象にも研究が進められています。これら試験では、適応の有効性および安全性プロファイルを評価します。
ノバルティスはファビハルタに加え、作用機序が大きく異なる2つのIgA腎症治療薬の後期開発を進めています。atrasentanは、エンドセリンA受容体を遮断する経口投与治験薬で、2024年第2四半期にFDAへの承認申請が受理され、2025年上半期に申請結果が分かる見込みです。zigakibartは、抗APRILモノクローナル抗体の皮下投与治験薬で、現在は第III相の開発段階にあります。
APPEAR-C3G試験について
APPEAR-C3G(NCT04817618)試験は、腎移植を受けたことのないC3腎症患者を対象にファビハルタ(200 mg)の1日2回経口投与の有効性および安全性を評価するための第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照試験です1,12。本試験は、成人患者が支持療法に加えてファビハルタまたはプラセボに1:1の割合で無作為化された6ヵ月間の二重盲検投与期、それに続いて(二重盲検投与期にプラセボを投与された患者を含め)すべての患者にファビハルタを投与する6ヵ月間の非盲検投与期で構成されています1,12。二重盲検投与期の主要評価項目は、プラセボと比較したファビハルタにおける24時間蓄尿による尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)のベースラインから6ヵ月時点までの尿蛋白の減少です1,12。成人C3腎症患者に加え、別のコホートで青少年C3腎症患者の試験登録が進行中です12。
C3腎症について
毎年、全世界で100万人あたり約1~2人が新たに膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)に含まれるC3腎症と診断されます3。
C3腎症では、免疫系の一部である補体第二経路の過剰活性化により、腎糸球体(老廃物を濾過し、血液から余分な水分を除去する血管のネットワーク)にC3というたんぱく質が沈着します4,13。そして炎症および糸球体損傷が誘発され、たんぱく尿、血尿、および腎機能低下が引き起こされます4,14。
腎疾患におけるノバルティスの取り組み
ノバルティスは、移植から始まった40年の知見を基に、腎臓の健康における画期的な進展を促進し、特にアンメットニーズの高い腎疾患に対する革新的な治療の探索を使命としています。これらの疾患はこれまでにファンディングや研究が十分に行われず、治療の多くが対症的なまたは末期の疾患管理に比重を置き、しばしば多大な身体的、精神的、経済的な負担がかかっていました。ノバルティスのパイプラインは疾患の根本原因を標的として、腎臓の健康を守り、透析や移植への移行を遅らせるまたは防ぐことを目指しています。ノバルティスの目標は、患者さんが職場や学校、愛する人たちと過ごす生活を取り戻すことです。患者さんやアドボケート(擁護者)、医師、政策立案者と連携して、疾病の認知度を高め、診断を迅速化し、患者さんが早期に適切な治療が受けられるよう取り組みます。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で約3億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
ノバルティスのソーシャルメディアもご覧ください。Facebook LinkedIn X/Twitter Instagram
以上
参考文献
- FABHALTA prescribing information. East Hanover, NJ: Novartis Pharmaceuticals Corp; March 2025.
- Martín B, Smith RJH. In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, et al., editors. C3 Glomerulopathy. GeneReviews® [Internet]. Updated 2018. University of Washington, Seattle; 1993-2024. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1425/. Accessed February 2025.
- Schena FP, Esposito P, Rossini M. A Narrative Review on C3 Glomerulopathy: A Rare Renal Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(2):525.
- Caravaca-Fontán F, Lucientes L, Cavero T, Praga M. Update on C3 Glomerulopathy: A Complement-Mediated Disease. Nephron. 2020;144(6):272-280.
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Glomerular Diseases Work Group. KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline for the Management of Glomerular Diseases. Kidney Int. 2021;100(4S):S1-S276. doi:10.1016/j.kint.2021.05.021
- National Kidney Foundation. Treatment for C3G. National Kidney Foundation. Available from: https://www.kidney.org/kidney-topics/treatment-c3g. Accessed February 2025.
- Smith RJH, Appel GB, Blom AM, et al. C3 Glomerulopathy – understanding a rare complement-driven renal disease. Nat Rev Nephrol. 2019;15(3):129-143.
- Feldman DL, Bomback A, Nester C. Voice of the patient: report of externally led patient-focused drug development meeting on Complement 3 Glomerulopathy (C3G). National Kidney Foundation. Published March 26, 2018. Available from: https://www.kidney.org/sites/default/files/C3G_EL-PFDD_VoP-Report_3-29-…. Accessed February 2025.
- Lafayette R, Sidhu R, Proudfoot C, et al. Quality of life and fatigue burden in individuals living with Complement 3 Glomerulopathy – a real-world study. Nephrol Dial Transplant. 2024;39(Suppl 1).
- Smith RJ, Kavanagh D, Vivarelli M, et al. Efficacy and safety of iptacopan in patients with C3 glomerulopathy: 12-Month results from the Phase 3 APPEAR-C3G study. Presented at American Society of Nephrology (ASN) Kidney Week 2024; October 23-27, 2024; San Diego, CA.
- Novartis. Novartis oral Fabhalta® (iptacopan) receives positive CHMP opinion for the treatment of adults living with C3 glomerulopathy (C3G). Available from: https://www.novartis.com/news/media-releases/novartis-oral-fabhalta-ipt…. Accessed March 2025.
- ClinicalTrials.gov. Study of Efficacy and Safety of Iptacopan in Patients With C3 Glomerulopathy. (APPEAR-C3G). Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04817618. Accessed February 2025.
- Ravindran A, Fervenza FC, Smith RJH, Sethi S. C3 Glomerulopathy Associated with Monoclonal Ig is a Distinct Subtype. Kidney Int. 2018;94(1):178-186.
- Medjeral-Thomas NR, O'Shaughnessy MM, O'Regan JA, et al. C3 Glomerulopathy: Clinicopathologic Features and Predictors of Outcome. Clin J Am Soc Nephrol. 2014;9(1):46-53.
印刷するには以下の印刷ボタンをクリックし、次のページで右クリックの上、メニューの「印刷」を選択してください。
また、この文章は印刷ページにも表示されます。